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国循サザン事件―0.1%の真実―

国循官製談合事件の容疑者として起訴された桑田成規さんを支援します

国循官製談合事件第9回傍聴録

 

国循サザン事件-0.1%の真実-無罪を訴える桑田成規さんを支援する会Nです。

2016年9月1日13時10分〜16時30分、大阪地方裁判所第603号法廷にて、国循官製談合事件(「国循サザン事件」)の第9回公判が行われました。

この傍聴録は、逮捕起訴された桑田さんを支援する会として動いているNが、第9回公判の様子や感想を傍聴した本人としてアップしています。

Twitterではなるべくリアルタイムに投稿しております

国循官製談合事件の冤罪被害者を支援する会 (@southerncase) | Twitter

<目次>

 

 第9回公判の様子

  • 裁判官 西野吾一裁判長他2人
  • 桑田さんの弁護士 2人
  • 高橋さんの弁護士 3人
  • 検察官 4人
  • 報道関係 6人くらい
  • 傍聴者 約20人

検察側5人目の証人

今回は検察側の5人目の証人として、国循官製談合事件に関する裁判において、重要参考人の一人とも言える涌嶋(わくしま)賢二氏への主尋問が行われました。

涌嶋氏はダンテックの元従業員であり、ダンテックがNECに競り勝って落札したH24年度入札(入札1)、H25年度のシステムスクエアが落札後不調に終わった入札(入札2)、その後に行われた公募型企画入札(入札3)の全てに関わっており、桑田さん、ダンテックの高橋さん2人とも関わりの深かった人物。

この事件が公になった当時はダンテックの従業員であり、NCVCネット業務の現場の責任者でした。

ダンテックに入社するまでは、情報処理の専門学校を卒業後、塾の講師を経てシステム構築やアプリケーション開発の会社を設立し、H19年頃からはダンテックからアプリケーションの業務を請け負うなどしていました。

H24年以降は、ダンテックのアプリケーション開発のマネージャとなり、H24年度入札でダンテックが落札して以降、桑田さん、高橋さんと共にに逮捕されるまで、国循内に常駐。

逮捕後起訴された桑田さん、高橋さんとは異なり、彼一人だけが不起訴となった証人ということもあり、注目の公判となりました。

H24年度入札における運用技術者の人数

H24年度入札(入札1)については、これまでの公判でも繰り返し、様々な角度から聞いています。

前回の第8回公判では、検察側証人がそれまでの国循職員(当時)からNEC社員に変わったこともあり、入札に参加した業者として、またそれまで長年に渡って国循内の情報システムの管理や保守、運用を行ってきた業者として入札や業務に関する話がなされました。

またNECがH24年度入札を落札できなかったことに関連して、H24年度入札公告前から入札日までのこと、落札発表後のことなど様々な内部事情が明るみになりました。

その際にも、入札前に提出した業務体制表に記載した予定人数のことや、ダンテックが落札して業務を開始するまでの短期間での引き継ぎの様子に関してなどの証言がありましたが、今回はNECに競り勝って落札したダンテック側からの証人ということで、また違った一面が語られました。

当然のことながら、入札に参加する業者にとっては「どのくらいの価格で入札するか」が最も重要な事項になります。

入札価格を決めるためには、(1)システム機器の保守費用と(2)その運用に必要な人件費を見積もる必要があります。

(1)保守費用は、保守の対象となる機器が仕様書に明記されていましたので、その機器の保守ができる業者から見積を取れば算出可能です。(ただし、H24年度入札に関して言えば、ダンテックはNECから見積の提出を拒絶されており、大変困った状況であったようです)

他方、(2)人件費は、どのようなスキルをもつ技術者が何人必要か、が分からないかぎり正確に計算することができません。

この国循の入札は、同じ業務内容に対して毎年毎年繰り返し行われているものでしたので、国循の「現状」を把握することができれば「次の入札もほぼ同じ」と予測できることになり、人件費を予測することは容易です。

しかし、H24年度入札において、国循の入札に初参入であったダンテックにとって、国循の現状を正確に把握することは困難なことでしたので、「国循のシステム運用を行うためには、どのようなレベルの技術者が何人必要なのか?」が最大の関心事であったと思われます。

運用技術者の人数に関するそれぞれの証言

今回の涌嶋氏も検察からの

システム運用の費用(人件費)をどのように積算するかご存じですか

との質問に

ひと月にかかる費用に月数を掛けたものです

と答えました。

しかし、国循が仕様書に掲載していた運用技術者は12人。

H23年度の現行の運用技術者は9人だったにもかかわらず「12人」と記載したことについては

H24年度の業務内容に必要な人数として12人と記載した

と、当時国循の契約係責任者であった西田氏から説明がありました。

しかし、前回公判の証人であるNECの尾崎氏から

提出した業務体制表の運用技術者は9人で計算した。仕様書に機器が新しく変わるなどの追加項目はありましたが、現行体制を変えるほどの内容ではないと判断した

と証言がありました。

そして今回の涌嶋氏は

国循に提出した体制表の体制部分の原案を作成し、その人数は12人と決定したのは仕様書に書いてあったから

と証言。

検察からの

落札した際には12名は社員でまかなうつもりでしたか

の質問に

自社だけでなく協力会社からも入れる予定だったが、入札前には何名を協力会社にするかは決めていない

と涌嶋氏は答えました。

また

入札前に12名より少ない数で業務を行うを検討したことはありましたか?

という質問には

仕様書に12名と書いてあるということは、その体制が必要ということだと思ったので12名以下にするつもりはなかった

と答えました。

ここでもわかるように、国循が作成した仕様書に書かれた「運用技術者12人」という数字は、新規参入業者が入札価格を決める際にはとても重要な数字になっていたわけです。

この点については、これまでの証言ですでに次のような証言が得られています。

元国循職員の西田氏は、入札は全ての参加者に対して公平かつ公正であるべき」と何度も証言し、24年度入札に関しては、新規に参加する企業が不利にならないようにとの配慮から、企業が応札価格を算出する際に参考になるよう、運用支援業務従事者数等を仕様書に明記することになったと証言しました。

しかし、現行業者であったNECは、現行業務と仕様書の業務内容を確認しても「従来どおり9人でできる」と判断。

それでも「12人」にこだわった西田氏の指示で仕様書には「運用技術者は12人」と記載され、仕様書を参考にしたダンテックは、国循に提出した業務体制表に「運用技術者は12人」と記載した。

これほどまでに、新規参入業者にとって「仕様書に書かれる内容」は重要なものであり、特にH24年度入札で落札出来るかどうか?の鍵である「入札価格」をダンテックが算出するために、この「運用技術者の人数」がいかに重要であったかということがわかります。

ちなみに、第8回の公判で明らかとなったNECの人件費は1人・一ヶ月あたり100万円でした。「12人」と「9人」の差である3人分の人件費は、

100万円×3人×12ヶ月=3,600万円

となります。国循の現状を知ると知らないとでは、これほどまでに大きな金額の差となる可能性があったということになります。

また、涌嶋さんは、運用の体制を考えたのは自分であるが、最終的に人件費を含む入札価格を決めたのは社長の高橋さんだった、と証言しました。

高橋さんは、最終的には12人より少ない人数で人件費を見積もり、入札したようです。検察側は、高橋さんが、桑田さんから送られてきたNECの体制表から情報を得て人件費を下げて入札した、と主張し、他方、高橋さん側は、人件費を下げたのは、それよりも前のことだと主張しています。

今後は、高橋さんが、いつどのように入札価格を決めたのか、が重要なポイントになると思われます。

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新利用者管理システム

H24年度入札は落札価格600万の僅差でダンテックが落札。

長年独占状態であったNECからダンテックに業務が引き継がれることになりました。

しかし、落札の決定(3/19)から年度が変わり業務がスタートするまで(4/1)の期間が10日間あまりと非常に短時間であったこと、またNECからの引き継ぎがスムーズに行われなかったことから、最終的にダンテックはそれまでのNEC製の利用者管理システムを使用せず、新利用者管理システムを開発することになりました。

引き継ぎがスムーズに行われなかった原因としては、NEC側の(自分達が落札できなかったことに関する)国循への憤りも関係していたのではないかと思われます。

前回の第8回公判の最後では、NEC社員の尾崎氏が、

入札直前に、ダンテックから(入札の対象となっているNEC機器保守の)見積依頼があり、それをNECが断った直後に、国循の中島係長から同じ内容での見積書の提出依頼があった。自分としては中島係長の行動を訝しがりながらも、そのとおり提出したところNECは僅差でダンテックに競り負けてしまった。そこで、中島氏に、NECが入札直前に提出した見積書をダンテック社に転送して中身を見せたのではないのかと、国循を訪れて口頭で詰め寄った

と証言する場面がありました。

尾崎氏の発言からは「まさか負けるとは思っていなかった」という気持ちがありありと伝わりました。


そのような経緯もあったのか、涌嶋氏からは、

ダンテックからNECに、NEC製の利用者管理システムを運用するにあたっての引き継ぎを依頼した際に、協力を得られなかった

と、証言がありました。

そこでダンテックはそれまで使用していたNEC製の利用者管理システムを継続して使用することを断念し、新利用者管理システムを開発しました。

この新利用者管理システムについて

検事 ダンテックの経費負担で開発しましたか

涌嶋氏 どの費用から出したかは自分は知らない

検事 新利用者管理システムについて費用が支払われましたか? 

涌嶋氏 わかりません

検事 運用履歴管理システムについては費用が支払われましたか?

涌嶋氏 ダンテックは費用をもらっていないと思います

検事 その根拠はなんですか?

涌嶋 その見積を書いた記憶がないので

検事 このシステムがないと運用できないものか

涌嶋氏 エクセルなどでもやろうと思えばできるので、必ずしもそうではないと思います

検事 利用者管理システムについてはどうですか?

涌嶋氏 見積を書いた記憶がありません

この新利用者管理システムの開発は、それまで国循に入っていたNECの利用者管理システムの保守をNECが拒否したことから、やむなくダンテックが開発したとされています。

また、それまでのNECの利用者管理システムは、接続する他システムとの連携がうまく動作しなかったり、利用するものによっては何度もログインが必要だったりと、国循の現場からも「使いづらい」との声もあったとされています。

入札3(公募型企画入札)の入札参加業者NDDはおつきあい?

H25年度入札(入札2)は不調に終わり、その後行われた公募型企画入札(入札3)に参加したのは、ダンテックとNDD社の2社でした。

そして、このNDDに関しては「国循が一者応札を避けるためのおつきあい業者だったのではないか?」ということが、この事件でも重要視されています。

この部分は桑田さんの公訴事実にも触れられています。

  • 2013年度の公募型企画競争入札において,受注する意思のない企業NDDを競争に参加させたうえ,ダンテックより高値で応札させるとともに,ダンテックが作成提出すべき企画提案書について助言指導を行った。

受注する意思のない企業を入札に参加させたことについて、これまで元国循職員の証言では「そのような事実はない」と否定していました。

しかし、前回公判で飛び出した、NEC社員である尾崎氏の「当て馬発言」で明らかなように、やはりおつきあい業者を準備することはあるのではないか?というのが、傍聴している私たちの感覚です。

そして今回も、この入札3に関する質問が行われました。

しかし、検事の質問は

おつきあい業者を呼ぶことになったのはなぜですか?

というもの。

聞いていた私は一瞬耳を疑いました。

いつから「おつきあい業者ありき」になったのだろう???

やはり、前回の尾崎氏の当て馬発言で、これまで曖昧にされていた部分が公になったのでしょうか?

その質問後、

涌嶋氏 桑田さんとの打ち合わせの中でそうなったと思います

検事 そのことについて、高橋さんにどのような手段で報告しましたか?

涌嶋氏 覚えていません

検事 (涌嶋氏から高橋さんに送ったメールを提示)

涌嶋氏 桑田さんはIBMに協力してほしいと言われていましたが、それは難しいだろうと答えました。事務(契約係)の人も桑田さんも一者応札は避けたいようでした

 

と続きました。

この「桑田さんがIBMに協力してほしいと言った」という部分が、どうも「桑田さんの指示でおつきあい業者を準備させた」という流れになっているようですが、桑田さんとしては、受注する意思も、履行能力もない「おつきあい業者」を探していたわけではなく、仕様書の要件を満たすことのできる、それ相当のレベルの会社を探していただけ。

ここでは、涌嶋氏が検察側の質問に対して

色々なことがあったなかで、メールの一部を切り出して聞かれても覚えていないので答えられません

と証言していました。ここにも、検察が自分達にとって都合のよい事実のみを「切り出して」いることが顕れていると感じられました。

仕様書にこだわる検察側と答えが噛み合わない証人

その後も仕様書について、検察から執拗に質問が繰り返されました。

検事 H25年度の一般競争入札(入札2)の仕様書案の準備を国循から依頼されたと思うのですが、高橋さんに報告しましたか?

涌嶋氏 たぶん

検事 そのことについて高橋さんからなにか指示を受けましたか?

涌嶋氏 わかりません

検事 高橋さんからダンテックの強みになるものを入れるようにという話をしましたか?

涌嶋氏 覚えていません

検事 高橋さんから新利用者管理システムについてなにか言われましたか?

涌嶋氏 覚えていません

検事 準備にあたり桑田と打ち合わせをしましたか?

涌嶋氏 わかりません

検事 (証拠資料のメールを示す)打ち合わせをしたのは11/8ですか?

涌嶋氏 そのように残っているならそうだと思います

検事 桑田さんと話をした内容は高橋さんに報告しましたか?

涌嶋氏 したと思います

このように、涌嶋氏は検察側証人であるにも関わらず、終始検事からの質問と証人の答えが噛み合いませんでした。

印象的だったのは、涌嶋氏が

その質問はどういう意図なんですかね?僕は◎◎と答えたら良いということですかね?

と、検事に問うシーンが何度もあったこと。

検事からは

説明は良いので、あったかなかったか、わからなければわからないと言ってください

と証人に伝えることも何回もありました。

 

第9回公判では、検察側からの質問に対し涌嶋氏は終始曖昧な返答で、傍聴席がざわつくシーンもありました。

その後もH25年度入札に関する質問が行われ、涌嶋氏はその当時ダンテックの社員として国循内に常駐していたこともあり、仕様書作成に関する桑田さんとのやりとりについて、様々な質問が行われました。

しかし、先のような噛み合わないやりとりが続き、途中では

申し訳ないのですが本当に思い出せないのです。私は当時国循に常駐しており、桑田さんとは日々何度も電話や対面、すれ違う時などに、その都度その時起こっている問題解決の打ち合わせしていました。この日のメールのこの部分と言われても、覚えていないし思い出せないのです。

と、様々なメールの一部を切り取って質問する検事に対し、訴えるように涌嶋氏が言うシーンもあり、涌嶋氏が追い込まれているようにも見えました。

これらの主尋問を傍聴席で聞きながら「取り調べも、こうして質問をたたみかけながら追い込んでいくのだろうか?そして、問い続けられる中で、自分が何を答えたら良いのか正しい判断ができなくなっていくことはないのだろうか?」と、取り調べのあり方について疑問を感じてしまいました。

私が毎回傍聴時にメモしているノートにも「こうしてつくられる犯罪者」と走り書きがあるほどです。

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