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国循サザン事件―0.1%の真実―

国循官製談合事件の容疑者として起訴された桑田成規さんを支援します

最低価格落札方式の入札では,発注者は「必要最低限」のものしか求めてはいけないのか

「国循サザン事件」の第一審判決(以下,原判決)における,最も深刻な過ちは,タイトルに示した命題である。

原判決では,以下のように言っている。

 特定の業者にとって当該入札を有利にし、又は、特定の業者にとって当該入札を不利にする目的をもって、現にそのような効果を生じさせ得る仕様書の条項が作成されたのであれば、当該条項が調達の目的達成に不可欠であるという事情のない限り、入札等が公正に行われていることに対し、客観的に疑問を抱かせる行為ないしその公正に正当でない影響を与える行為であるというべきである。(原判決17ページ)

 これは,検察側の原審論告において,検察官が行った

 最低価格落札方式で実施する以上、設定される条件は必要最小限でなければならず、それを超える品質を求める場合は、参加要件自体は最低限のものとした上で、プレゼン方式で評価していけばよいのである。

 との主張を,そのまま認めたものである。

ところが,これは,価格に見合う価値(Value for Money)を確保すべき財務会計法令上の原則に反するものであるし,公共調達の実務ともまったく異なっている。該当する法令もなにもなく,過去においてこのような解釈が示されたことは一度もない。公共機関の調達は,税金を資源とする以上,無駄な出費を抑えなければならないのは確かであるが,「最低限」である必要はない。設定した条件が,調達目的と整合するか,合理的であるかが,当該条件の妥当性を判断する基準である。

世の中の公共調達の大半は最低価格落札方式による入札で実施される。検察官および裁判所は,これらがすべて「必要最低限」のものしか要求してはならない,というのである。

これが示すことは,公共機関は,紙,鉛筆,パソコン,トイレットペーパー,机,椅子に至るまで「必要最低限」でなければならないというのである。こうなると事務用品はすべて100円均一クオリティでなければならないだろう。机はもちろん袖机は不要で,椅子に至っては肘掛けはもちろん背もたれも不要かもしれない(だって背もたれのない椅子も世の中にはあるんですから!)。

さて,検察事務総長様や裁判長長官様の机と椅子は必要最低限だろうか? 部屋に高級なソファなどないのであろうか? ーーこのように考えれば,いかにこの判決が欺瞞に満ちたものかがわかるだろう。

もちろん,検察事務総長様や裁判長長官様の机と椅子は,ある程度,職位に応じた高級なものであってもかまわないだろう。それが適法と見なされるのは,そこに「合理性」があるからなのであって,「必要最低限」であるからではないはずである。

経済性の大原則を無視し,実務を無視した原判決は,当然に棄却されなければならない。